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巨大エネルギー市場の開拓に挑む。STORY 03

エネルギー事業部
再エネ開発部

南雲 尭之2017年 タカラレーベン
入社

険しい道のり

再生可能エネルギー発電事業。その巨大マーケットに不動産会社という立場から挑んでいるタカラレーベン。それを牽引しているのが、南雲の所属するエコエナジー事業部である。太陽光発電をはじめとした発電所の新規開発、インフラファンドへの発電所の売却、そしてそれらの維持管理を一手に担う。「ストックビジネス(安定的・継続的収益)の拡大」という目標を達成するため、年間50MW分の発電所確保というミッションが課せられているが、これは一般家庭約1万5000世帯の年間使用電力量に相当する。タカラレーベンとして、発電規模を飛躍的に大きくしていくことを企図しており、その布石を打つエコエナジー事業部、そして南雲の役目は大きい。

Energy Markets

発電所の開発プロジェクトは、社内で常に数十案件が同時並行で動いているが、その道のりは非常に険しい。まずは仲介業者から情報を得て、発電所に適した用地を探した上で、自治体の関連部局による設備認定、電力会社との連携契約、用地の売買契約を同時に進める。そこから施設の設計を行いつつ、現地調査をしながら建設していくというのが基本的な流れだ。林地開発や農地転用といった、別途役所への許可申請が必要なケースも多いが、これが厄介。例えば、用地やその周辺の林に降った雨水をどう処理するか、といった細かなルールが自治体ごとに異なるだけでなく、そもそもルール自体がまだ曖昧な部分もあり、担当者によって見解が異なるのだ。そのため、市区町村と都道府県の窓口の間をたらい回しにされることもある。「他で許可が降りたからここでも大丈夫だ、という先入観は持ちません」と南雲は語る。

地道な調査や各関連会社との調整を続け、晴れて開発に着手できる運びとなっても、困難はまだ続く。太陽光パネルを設置する台は2mものネジを地中に打ち込んで固定するが、それでもしっかりと固定できる地質かどうかは、施工図面を片手に地面を掘ってみないと分からない。また、売却先のインフラファンドとの商談では、実際の土地と図面が一致しているか、現地にある地番を表示する杭を確認しに行かねばならない。ある時は生い茂った草むらを掻き分け、またある時は崖の上の杭を半ば命がけで見に行く。

この国の未来と
つながっている

数々の困難を乗り越え、発電所の操業を開始させるブレーカーを上げて、メーターの数字がグーンと上がってゆくのを見る瞬間は、南雲にとって感無量のひとときだと言う。現場での数々の苦労が脳裏に浮かぶ。だが、南雲のミッションはまだ終わりではない。発電所は、地域の一部として操業を続けていく。共に暮らしていく地域住民に、「タカラレーベンにエネルギー事業を託して良かった」と思ってもらいたい。その為に南雲は、エネルギー事業と地域が共生する方法を模索する。

例えば、現在タカラレーベンが取り組んでいる自社最大規模案件(約30MW)では、発電所完成後に、工事のために用意した進入路を整備し、地域住民が利用できるようにする構想がある。これは、「地域周辺の生活道路が細道でカーブも多く、救急車のような緊急車両の通行にも時間がかかることを解決したい」という地域住民の声が基になっている。どうすれば、より地域に寄り添い続けられるか、南雲はそれを常に意識している。

2016年6月、タカラレーベンは東証インフラファンド市場へ太陽光発電所を投資対象としたファンドを上場させた。これは日本第1号の上場となり大きな話題を集めた。社内からも、業界からも注目を浴びるこのビジネス。エネルギー資源に乏しいとされてきた我が国全体にとっても重要な鍵を握ることになる。太陽光発電はもちろん、風力、バイオマス、更には住宅事業との連携をも模索しながら、インフラファンド拡大と新規事業の開拓を進めていくことが、今の南雲の使命だ。「責任は重大ですが、目的に向かって、道のりを一歩一歩進んでいきます」と語る南雲。明日もまた、さらなる飛躍のため、南雲は日本中を駆け回る。