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タカラレーベン東北
取締役
伊藤 啓二郎2007年 タカラレーベン
新卒 入社
新天地での出会い
2014年のある日、当時タカラレーベンの開発部に所属していた伊藤は、東北の地に立っていた。都内と東京周辺で事業展開をしていたタカラレーベンが、今後東北6県に進出すべきか否かを調査するため遥々やってきたのだった。どれだけ事前に調査を重ねようと、実際に見てみないと分からないことが山程ある。市街地を自分たちの足で隈なく歩き回った。更に、役所に出向いて今後の開発計画等についてヒアリングを行い、需給バランスからこの地に可能性を見出したのであった。その後の展開は早かった。翌年タカラレーベンのグループ会社として、タカラレーベン東北が発足。伊藤はその開発部で新たな歴史をスタートするメンバーとなった。
地域に根ざす。その言葉を実践するのは、こと「最近東京からやってきた不動産会社」ともなれば簡単ではない。試行錯誤を続ける事業展開期間に、伊藤にはある忘れられない出会いがあった。その案件は、秋田県での敷地面積366坪、事業規模約20億円の、マンション開発。仙台で金融機関回りをしていたところ(地方では地銀が多くの情報を持っているのだ)、銀行からの紹介で、自身が所有し、現在自宅がある土地を活用したいという老齢の地主に出会った。競合は、マンションデベロッパーではなく、老人ホームの運営会社だった。通常地主との交渉と言えば価格交渉がメインになることが多いが、マンションに限定していないところからして、ニーズに合う土地活用を提案できるかが勝負の決め手になると伊藤は見た。
「その地主さんは偶然自分と同じ名字で、息子さんも自分と同じくらいの年齢。何度も会って会話し、息子のように可愛がってもらえました。そうするうちに、代々受け継いできた土地だから、その土地を売った後もそこに住み続けたいという想いを打ち明けてくださいました」と語る伊藤。そのような信頼関係を築く過程で、税制面での相談、老後の資金計画、土地を売った後の将来設計など、土地を売る側もまた、様々な不安や想いを抱えていたのだが、伊藤はそれらに真摯に寄り添っていった。だからこそ、地主からの本音を引き出すことができた。マンションを建てれば、無理なくそこに住み続けられる。伊藤は自信を持ってマンション用地としての土地活用を提案できた。案の定、契約はタカラレーベンと締結する運びとなった。しかも、金額面では競合よりも低かったにも関わらず、それでも伊藤の提案を選んでもらえたのだった。
幸せをつくるということ
不動産開発は、地主と事業主、そのどちらかが損をするのではなく、両方にメリットがあるWIN-WINでないといけない、というのが伊藤の信念だと言う。本件で言えば、タカラレーベンは立地条件の良いマンション用地を周辺相場より割安に仕入れることができた。一方地主としても先の通り、ニーズを満たせるメリットがある。また、「一軒家は管理が大変。落ち葉を掃除するだけでも一苦労だった。これで長年の重労働から、やっと解放される」とも安堵していたそうだ。更に今までのデベロッパーの地方進出では、都市銀行から資金を調達し、東京の大手ゼネコンに建設を発注していたため、地元への影響はあまりなかったが、今回は地銀での資金調達、地元業者での建設で実現。また当該の土地自体が中心市街地にあったため、市街地の活性化にもなる。まさに、地域にとっても、大きなメリットのある形でプロジェクトを実現できたのだ。
その意義の大きさは、誰もが知る某有名ニュースサイトのトップに記事が出たことからも窺える。過去6年間、秋田県庁のある秋田市で分譲マンションが売り出されていなかった中で、この物件は久々に活気溢れるニュースをもたらした。
そんな画期的な案件を成功させた伊藤は、案件後に起きたエピソードを嬉しそうに教えてくれた。
「土地を売ってくれた地主さんが、感謝の意を込めて私達に豪華な懐石料理をふるまってくださったんです。秋田のお土産までいただいてしまって。地主さんからそんなふうにもてなしてもらえるなんて、初めての経験でした。本当に嬉しかったですね」
そう語る伊藤の表情には「地方中心市街地の活性化」という大きなミッションを担う充実感と、「地域の幸せを考え、地域の幸せをつくる」という夢への情熱が溢れている。